はじめに
n8nというオープンソースのワークフロー自動型のAIツールを使ってみました。
筆者は、情シス部門で働いているのですが、社内の業務効率化の問い合わせを受けることがあり、Google App Scriptをメインに業務自動化ツールを作成しています。ただ、入社したてだったということもあり、AIについて知識がなく、また、AIを使えばより高度な業務自動化を行えるのではないかと考えていたところ、Youtubeの技術解説動画でn8nを知り、試しに触ってみることにしました。
n8nについて
n8nとは、簡単に言えば、LLM+ワークフローを使った自動化ができるツールです。
幅広いSaaS(Slack, Notion, Google, X, AWS, Azureなど)と連携することができます。
パワーポイントの図形を使うような形でAIを使ったプログラムを作成できるので、特に、プログラミングはあまりできないけど、日々の作業をAIを使って自動化したいような方におすすめです。

n8nの特徴としては下記が挙げられます:
- ノーコード、ローコード:
- 簡単なものであればノーコードでプログラムを作成できる
- 例えば、AIサービスのプロトタイプなどを作る際に便利
- インストールが簡単:
- Dockerイメージがあるので、気軽に導入することができる
- Dockerをインストールしてあれば、コマンド1つでサービスを起動することができる
- 情報漏洩の心配がない:
- オフラインでも使用できるため、情報管理に厳しい会社でも安心して使える
- Ollamaやローカルのデータベースなどと連携して使うこともできる
- 無料:
- オープンソースなのでローカルで構築すれば無料で使える
できること
n8nでできることとしては、下記のような例が挙げられます:
- PDFの自動解析
- スキャンした領収書や見積書の内容をAIで自動解析してExcel化
- メール返信の自動仕分け
- 毎日送られてくる問い合わせメールをAIで解析し、回答を自動生成する
- 会議の内容の自動共有
- 録画した会議の内容をAIで議事録化し、社内に自動共有するシステム
導入方法
とりあえず試しに触ってみたい方は、Dockerイメージが用意されているので、Dockerをインストールしている環境であれば、下記のコマンドを実行するだけで起動できます。
docker volume create n8n_data docker run -it --rm --name n8n -p 5678:5678 -v n8n_data:/home/node/.n8n docker.n8n.io/n8nio/n8n
使い方
n8nでは、ノードと呼ばれるブロックをつなぎ合わせることでワークフロー(プログラム)を作成することができます。 パワポの図形作成のように感覚で作れてしまうのがとても魅力的です。
例えば、Slack上でOpenAIとチャットするためのワークフローを作成する場合は下図のような流れになります。





n8nを使ってみた
情シスでは、1年の振り返りとして、問い合わせ窓口に来る内容を分析して次のアクションを計画するのですが、今回、その作業を自動化するプログラムをn8nで作成してみました。 問い合わせ件数は数百件に上るため、LLMで自動化できれば時間短縮になりますし、 業務効率化のひらめきに繋がるアドバイスをくれるかもしれないと思い作成しました。
ワークフローのおおまかな流れは下記の通りです:
- Slackから問い合わせチャンネルの内容を収集してGoogleスプレッドシートに保存する。
- 複数のLLMを組み合わせて、順番に「概要」、「ユーザ毎の問い合わせ件数の上位」、「月毎の問い合わせ件数の上位」、「よく出てくるキーワード」、「その他(気づき)」をそれぞれ生成し、最後に清書する。
- 結果をSlackに送信する。

最終的な結果は下記の通りです(情報はぼかしています):
# ヘルプデスク問い合わせ受付の分析結果 ## 概要 本期間中の問い合わせは、ネットワークやクラウド基盤の設定変更に加え、各種業務管理システムにおけるユーザーアカウントの新規発行や権限変更、及びセキュリティ・アクセス管理の依頼が多く寄せられています。問い合わせ内容は、システム運用やセキュリティポリシーの柔軟な運用、社内外の情報共有環境の整備に関連しており、急なトラブル対応から計画的なサービス変更の依頼まで多岐にわたっています。これにより、各システムの管理体制の見直しと、各部署間の連携強化が喫緊の課題として浮かび上がっています。 ## ユーザ別の問い合わせ件数 1. Aさん:30件 例:「顧客のコミュニケーションツール利用について、有料版への移行に関する問い合わせ」 2. Bさん:20件 例:「人事管理システムの管理者権限の発行依頼や承認プロセスの設定変更」 3. Cさん:19件 例:「ソースコード管理ツールへのアクセス許可依頼やグループ内のメンバー追加・削除依頼、及び社内システム連携に関する問い合わせ」 ... ## 月別の問い合わせ件数 1. 2025/01:39件 例:複数のシステムの新規グループ作成、アカウント発行、及びアクセス権限の付与依頼が突出しています。 2. 2024/08:31件 例:PC交換に伴うデバイス承認、アカウントの追加、及び基本システム連携に関する問い合わせが中心でした。 3. 2024/10:30件 例:コミュニケーションツール内のグループ・チャンネル作成、登録依頼、外部連携の設定依頼など、コミュニケーションおよびセキュリティ施策に関する要求が多く寄せられました。 ... ## キーワード 1. アドレス管理 ─ アドレス登録、変更、設定など、ネットワーク設定に関する問い合わせが頻出。 2. セキュリティ管理システム ─ セキュリティポリシー、アクセス許可設定、リスク管理など、通信制御や安全性確保に関する依頼。 3. 業務管理システム ─ アカウント新規発行、権限変更、連携トラブルなど、業務システムのユーザー管理関連の問い合わせが中心です。 ... ## その他 ・全体として、各種システムの運用・管理に伴う定型的な依頼(アカウント発行や権限変更)に加え、新規機能の導入やシステム連携に伴う急なトラブル対応も多く見受けられ、社内の業務プロセスや連携体制の改善が求められている状況です。 ・特に、アドレス管理に関する依頼が散見されることから、新サービスの立ち上げや既存サービスの移行、セキュリティ強化の動きが活発であると判断できます。 ・また、業務管理システムに関する依頼が多いことは、社内のユーザー管理プロセスが頻繁に行われていることを示唆しており、今後の運用体制の強化が課題となると考えられます。 → チャット履歴はこちら ← Automated with this workflow
具体的な実装は別記事にまとめたいと思いますので、詳細が気になる方はそちらをご覧ください。
n8nを使ってみた感想
n8nを使用してみた印象ですが、とても便利でまだまだ活用の余地があるなと感じました。
一番の特徴はコーディングをしなくてよいところでしょうか。 導入はコマンド一つででき、API連携が簡単、プログラムの実行もスケジューリングができるなど、手軽に業務の一連の流れを自動化できるところがとても便利だなと感じています。 また、バージョンアップのスピードも早く、MCPノードなどの新しい技術にも随時キャッチアップしており、流行の技術に手軽に触れられるのも良いところだと感じています。
反面、ドキュメントが英語のみ、かつ、充実していないので、まだまだ社内で活用するには課題が多いです。 そのため、保守性の観点から、現状はまだGoogle App Script等を使って業務自動化を行うことが多いです。
以下、n8nの特徴をまとめてみました。
長所
- コーディングをあまりしなくてもよい。(アイディアの検証におすすめ)
- SaaS連携が手軽にできる。(2025年現在では1047個のSaaSを含むツールに対応)
- LLM、RAG、AI Agentなど、先進的な技術を使った自動化が行える。
- JavascriptやPythonのコードも埋め込めるため、複雑な実装できる。(ただし、使えるライブラリには制限がある)
短所
- ドキュメントが英語、かつ、充実していないため、使える人が限られている。
- 使用できるLLMの機能は少しラグがある。(Open Researchやsimilarity_score_thresholdを使ったRAG等、未実装の機能がある。)
- 日本のSaaSとの連携は充実していない。(FreeeやKintoneなどとの連携はWebhookノードを使って手動で作りこむ必要がある。)
おわりに
実は、こちらの記事を書き始めたのが2025年の4月頃だったのですが、その後色々と立て込んでしまい、6か月経ってしまいました。。。 最近ではOpenAI BuilderなどLLMのメーカーからこういったツールが出てきており、ますます便利になっていく一方、 こういったオープンソースならではの強みがあって、n8nはまだまだ需要があるツールなのではないかと感じています。 色々自作するのが好きな方は一度触ってみてはいかがでしょうか?